フジテレビ系連続ドラマ「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」とは
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」は、2007年1月からフジテレビの月9枠で放送されていたドラマです。
ベストセラーとなったリリー・フランキーが自分の半生を綴った小説を原作としています。2006年に単発ドラマとして放送され反響が大きく、翌年連続ドラマとして本作が放送され映画化もしました。主題歌はコブクロの「蕾」で、ドラマと共にこちらも大ヒットしました。
主演のボクを速水もこみち、オカンを倍賞美津子が演じました。
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」のストーリー
ストーリーは、オトンに愛想をつかした中川栄子(オカン)がまだ幼かった息子の雅也を連れて福岡の筑豊にある実家へ戻り働きながら女手1つで雅也を育てることに。母1人子1人で決して裕福ではないが愛情たっぷりで育った雅也は、地元を離れ東京の美大へ進学します。
離れ離れになった母と子であったが、雅也が大学を卒業しアルバイトをしながらもなんとか生活できるようになってきた頃、栄子に癌が発覚。栄子は雅也に病気を隠し1人で手術を受けようとする。
このことがきっかけとなり、雅也は栄子を東京へ呼び再び一緒に暮らしますが、栄子はがんが再発。再度手術を受け、雅也も栄子を支えますがその命はもうすぐ尽きようとしていました。
家族とは何か?母と子の絆を描いた感動の家族ドラマになっています。
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」各話のあらすじとネタバレ
第1話「オカンとボクと時々オトン~親子の別れ」
真新しいファッションビルが立ち並び、人々の喧騒が賑やかに溢れかえる東京の繁華街。大きな荷物を傍らに置いて、公衆電話から電話をかける青年、中川雅也(速水もこみち)がいる。電話の相手は、母親の栄子(倍賞美津子)で…。
1989年1月。雅也は、栄子とともに廃坑の町、福岡県筑豊の廃病院で暮らしていた。高校生の雅也は、いまだに栄子への依存度が高い。また、栄子も雅也を幼い子供のように可愛がっている。しかし、色気づいてきた雅也は、人前では徐々に栄子の世話焼きが恥ずかしくなりつつもあった。
その日は、雅也は高校の最終進路相談を受ける日だった。遅刻して登校し、進路希望の申告もせず、相談日に母親も同席しないという雅也を叱責した担当教諭(斎藤洋介)は、指導室へと呼びつける。雅也は、担当教諭の文句を言いつつ、幼なじみの山田耕平(柄本佑)、前野和夫(山崎裕太)と校舎の屋上でエロ本を読んだり、東京への憧れを話したりして時間をつぶし、指導室へ。実は、雅也のカバンには東京の美大の入試願書が忍ばせてあったのだが…。指導室に入った雅也は驚く。なんと栄子が来ていたのだ。突然の栄子の登場に、雅也は進路相談もそっちのけで腹が痛いと出て行ってしまう。追いかけて来た栄子に、いらだつ雅也。夕陽を見た栄子は、「前にも雅也と2人でこんな風景を見たことがある」とつぶやいた。
1979年。雅也と栄子は福岡県小倉に住んでいた。深夜に酔って、玄関を蹴破って帰宅し、家中でも暴れまわったあげくに雅也に土産の焼き鳥を食べさせる父親、兆治(泉谷しげる)とその母、富美子(佐々木すみ江)とともに。だが、ある日、栄子は雅也を連れてその家を出た。そして、筑豊の栄子の母親、ハル(赤木春恵)の家に移り住んだのだ。
知らない町に連れて行かれ、知らない小学校に転校させられる羽目になった雅也に頼れるのは栄子しかいない。登校のたびに腹が痛いとしぶる雅也を、栄子はなだめすかしつつ送り出す。そんな母子を、栄子の妹、香苗(浅田美代子)は温かく見守る。栄子は、香苗の経営する食堂や青果市場、内職までして母子の生計をたてていた。雅也の世話を焼きすぎると注意する香苗に、栄子は子供には寂しい思いをさせたくないと答える。
相変わらず腹が痛いと登校をしぶる雅也に、栄子は耕平と前野を食事に招待し、つましい家庭とは思えない料理をふるまう。雅也にとって、そんな栄子はちょっぴり自慢の母親だった。夏休みになると、雅也は小倉の家に行く。その来訪を富美子は手放しで喜ぶが、兆治は無愛想に応対する。それが、雅也の幼い頃の生活だった。
栄子はハルの元を辞し、廃病院に移っても雅也を大切に育てた。進路相談もろくにしない雅也に、ぽんと新しいバイクを買い与える栄子。そのバイクに乗って小倉に行った雅也は、兆治に進路を聞かれる。目的はわからないが東京に出たいと答える雅也に、珍しく兆治は上機嫌。東京で色々なものを見てきたらいいと勧める。だが、兆治は東京行きの話を栄子にはちゃんとした方が良いと釘を刺すのだった。
筑豊に戻り、自分の部屋を見た雅也はあっけにとられる。留守の間に栄子により綺麗に掃除してあったのだ。隠していた東京の美大の願書も整えられている。雅也は、何もかも先回りして世話を焼く栄子に、そんな母親だから離れたくもなるとつい暴言を吐いてしまう。
それから二週間、雅也は栄子と口を聞かずにいた。美大の試験費用に困った雅也は、香苗に無心しようとする。すると、栄子がどれだけ苦労をして雅也を育てたのかを考えろと逆に諭されてしまった。
雅也は栄子を残し、美大の試験のために上京する。東京のバスでは、同じく受験のために北海道から上京した佐々木まなみ(香椎由宇)と乗り合わせた。窓外に流れる明るい東京の夜景には、ひときわ輝く東京タワーの姿が…。
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雅也は無事大学へ合格。炭坑節を踊り祝う栄子は「東京に行く。このままここに居たら腐ってしまう」という雅也に自分で決めたらそうしなさいと力強く言います。東京へ出発する日、見送りはこなくていいという雅也ですが栄子は押しかけ無理やり荷物を渡し「がんばりよ!」と言い電車が見えなくなるまで手を振りました。そして見えなくなると涙を流しました。
これまで栄子にぶっきらぼうな態度でいた雅也でしたが、車内で荷物を開くとそこにはおにぎりや目覚まし、東京の地図、そして封筒が入っていました。封筒には手紙と1万円札が一枚入っていました。その手紙を読んだ雅也は号泣し、オカンと過ごした時間を思い出しながらオカンの作ったおにぎりをほおばりました。
東京についた雅也は栄子からの手紙を握りしめ公衆電話から栄子に連絡。そして本当はまだ自分のやりたいことがはっきりしないことを打ち明けます。すると雅也の不安そうな声を察して栄子は「東京はどうね?」と優しく聞きます。雅也は「キラキラしとう…」と東京タワーを見つめながら答えました。
というのが第1話でした。思春期ならではの母と子ですが、そんななかでもいつも暖かく雅也に接する栄子に同じ母として尊敬なしでは見られません。特に、栄子と雅也の別れのシーンでは一緒に号泣してしまいました。1つの風呂敷のなかに栄子の愛情が本当につまっていて胸がいっぱいになりました。
次回、離れての生活が始まった2人がどのようになっていくのか楽しみです。
第2話「涙の別れ後」
1989年、東京。筑豊を後に上京した中川雅也(速水もこみち)の美術大学生生活が始まろうとしていた。オンボロアパートに居を構え、母の栄子(倍賞美津子)が送ってくれた生活用品を並べる雅也。その頃、筑豊では栄子が妹の香苗(浅田美代子)相手に、雅也を心配している。それでも、栄子は雅也のために仕事を増やし、知り合いには息子の自慢話を明るく話していた。
いよいよ大学の授業が始まったが、雅也は初日から遅刻寸前。初体験の満員電車を降りて、大学へと続く道、目に入ったのは上京した日のバスで出会った佐々木まなみ(香椎由宇)だ。雅也は、まなみの姿を気にしつつも、自分の教室に入る。
鮮やかな標準語をしゃべる学友たちに気圧される雅也に、鳴沢一(平岡祐太)、澤田玉夫(星野源)、並木守(大橋智和)が話しかけてきた。筑豊出身だと言う雅也を鳴沢たちは、授業後、東京の街へと連れ出す。繁華街の人込みに、驚きながらも鳴沢たちに紹介された古着屋などで服を買った雅也は、すっかり都会人の装いになった。
アパートに帰って、雅也が自分の部屋を開けようとすると、隣の部屋に大きなもやしの袋を持った怪しい男がいる。このアパートの住人、手塚修一郎(石黒賢)だ。手塚は、もやし袋を徳本寛人(高岡蒼甫)に渡し、代金はレオ・リー(チェン・ボーリン)が支払う。徳本とレオも同じく、アパートの住人。手塚も含め、どう見ても裕福ではなさそうな住人たちに、雅也は首をひねる。
大学の授業が軌道に乗り始めると、独学の雅也は学友たちの才能に圧倒される。そんな時、雅也とキャンパスを歩いていた鳴沢がまなみを見つけて気軽に声をかけた。雅也はまなみと目を合わすことも出来ない。
秋の展覧会に向けての作品製作のため、高級な美術道具を買い込んだ雅也は手持ちの金がなくなってしまう。仕方なく栄子に仕送りを無心する雅也。アパートの公衆電話で栄子と話していた雅也を、手塚が手招き。
次の日の早朝。雅也は手塚と自転車に二人乗りして商店街へ。後部席の手塚は、雅也にスピードを指示し、店の前に配達されたもやし袋をゲット。つまり、雅也はもやし泥棒の片棒をかつがされたのだが、久しぶりに爽快感を味わう。大学の生活が自分の居場所ではない気がすると打ち明ける雅也。すると、手塚は流されているうちは、居場所は見つからないというが…。
夏休みの話題で盛り上がる友人たちを横目に、雅也は展覧会用の作品が出来ずに焦っていた。そしてなんとか完成させて展示した絵も、教授に批判されてしまう。確かに、周囲に飾られた作品は、雅也にはかないそうもないものだった。雅也は手塚たちアパートの住人たちのマージャン仲間になりつつあった。
1890年。雅也の後輩、山田耕平(柄本佑)がダンサーになると上京。雅也の部屋に転がり込んだ。しかし、散らかり放題の部屋で手塚たちとマージャンする雅也に、耕平は顔をしかめる。耕平は、栄子から預かった仕送りを雅也に渡すが、それも借金返済のため、右から左…。耕平は、雅也がどうやら大学にも通っていないらしいと知る。そんな雅也が大学から呼び出された。
久しぶりにキャンパスに行った雅也は、鳴沢とまなみに出会う。ふたりは、企画展を開くと言う。教授室に行くと、留年を示唆される雅也。帰り道、雅也は繁華街でもらったティッシュに書かれた儲け話に飛びつく。
アパートに帰ると、レオらに小豆の先物に仕送り金をつぎ込んだと自慢する雅也。心配する耕平に、雅也は大学を辞めると宣言。そんな時、アパートの大家(久保田磨希)が、栄子が事故に遭ったと電話が入ったと飛び込んできて…。
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栄子は仕事帰りに自転車で転んでしまい捻挫したのだと言います。香苗は雅也になんとか帰ってこれないかといいますが、栄子は「大丈夫。マー君が卒業するまでオカン死ねんわ!明日にでも仕事にいけるばい。安心してそっちでがんばりよ!」と気丈に言います。しすると雅也は大学を辞めようかなと言います。そんな雅也に栄子は悲しそうな顔をします。栄子は見舞にきた兆治にそのことを言うと、兆治は自分も東京の大学を中退していることから「本人がそうしたいならそうすればいい。どこにいきつくのかは分からない」と言うのでした。
雅也は、うまい儲け話に騙されおかんからの仕送りを無駄にしてしまいます。落ち込む雅也に手塚は、「みんなだらしないように見えてもそれぞれが頑張ってる。今のお前はそのゴミでもない。まだ大学のひとのほうが頑張ってるんじゃない?」と言います。
それを聞いた雅也は久々に大学へ行きますが、風疹になり倒れてしまいます。家で寝込んで目を覚ますとそこには栄子の姿が。浩平が連絡していたのでした。雅也はこれまでの東京での心の葛藤を栄子にぶつけます。すると栄子は「なんばいいよっと!ちっと病気したくらいで弱気になって。オカンは苦労なんて思ったことないよ。あんたは東京へ飲まれたからアカン。飲み込まないと。それが男たい!」と雅也を一括し筑豊に戻っていきました。
足をひきづりながら帰る栄子を見た浩平は、雅也に「これでいいの?筑豊でみるおばちゃんはいつも頑張って働いてたよ」と言います。雅也は冷蔵庫いっぱいに入れられた栄子のごはんを見ると、走って栄子を追いかけました。
雅也が栄子にかけよると、栄子は「東京にきて大きな看板があってびっくりした。いつかマー君の絵もあんな風に飾られたらいいね。オカンもがんばるからマー君も卒業まで気合入れなおしてがんばれ」と言います。雅也がうんと大きく頷くと栄子はバスに乗り帰っていきました。
次の日から雅也は大学へ再び通い始めます。
というのが第2話でした。自分が足をけがしていても子供のためにすっとんでくる栄子はさすがだなと思いました。冷蔵庫の作り置きにもその愛情がつまっていましたね。どんなときでも自分は二の次で雅也に愛を注ぐ栄子に胸がいっぱいになりました。
ようやく雅也の目も覚めたようなのでこれからどんな道に進んでいくのか次回も楽しみですね。早くオカンを喜ばせてほしい限りです。
第3話「祖母の最期」
1992年10月。中川雅也(速水もこみち)は、大学4年生になった。一応就職活動もしてみる雅也だが、それはオカンの栄子(倍賞美津子)に助言されたからで、本人に就職の意識はない。
翌、3月、卒業式に出席した雅也は、友人の鳴沢一(平岡祐太)たちには、しばらく自由にやると宣言する。そこに、佐々木まなみ(香椎由宇)たちも来た。鳴沢は出版社に、まなみは写真事務所への就職が、ほかの仲間もそれぞれに就職先を決めていた。一緒に飲みに行こうと誘われた雅也だが、どこか気後れして行くことが出来ない。
栄子は、雅也に電話で卒業の祝いを述べる。親戚から贈られた祝いの品を雅也に告げる栄子。心臓の悪いハル(赤木春恵)のためにも、一度は帰郷して欲しいと頼む栄子だが、雅也にその気はない。就職しなかったことを心配する栄子に、アルバイトを始めるから仕送りはいらないと断る雅也だが…。そんな時、後輩の山田耕平(柄本佑)やレオ・リー(チェン・ボーリン)らアパートの住人がささやかな卒業パーティーを開いてくれた。手塚修一郎(石黒賢)は、生活費は自分で稼ぐと豪語する雅也に都会で自活する知恵と、言葉を授ける。それは“一線を越えないこと”。手塚は、どんなことでも良いが、自分にひとつのルールを科して、それだけは絶対に破ってはいけないと伝えた。
雅也は耕平とともに、アルバイトの日々に入るが、どれもすぐに飽きて長続きしない。当然お金も長続きせず、すぐに公共料金などの督促状に埋もれ、家賃も滞納するようになってしまう。そんなある日、大家の集金を逃れた雅也がアパートを飛び出すと、兆治(泉谷しげる)がいた。
兆治は、雅也を高級料亭に連れて行く。そこには、兆治の仕事相手と思しき老紳士がいた。兆治は、雅也を老紳士に紹介し、就職の口利きを約束してもらう。店を出た兆治は、雅也に就職の意思を確認する。しばらく自由にしたいと答える雅也に、兆治はどんなことでも最低5年はかかるので、何もしないならしないで5年過ごせと言い渡す。自由にも覚悟がいる…と。
雅也は、徳本寛人(高岡蒼甫)やレオにも頼みこんでバイトをするが上手くいかず、金はますます底をつくばかり。ついに、水道も止められた時、耕平は雅也が隠していた一万円札を見つける。それは雅也が上京する時に栄子からもらったもの。雅也は、その一万円札を自分の“一線”としていたが…。
数カ月後、バイトを求めて彷徨い歩く雅也は、まなみと出会う。喫茶店に入り、自分の汚い格好に落ち込みながらもドキドキする雅也に対して、まなみは変わらない雅也の雰囲気をほめる。しかし、喫茶店の払いは、まなみだった。
雅也がアパートに戻ると、耕平が泣きついてきた。堪忍袋の尾が切れた大家に、雅也は追い出されてしまう。雅也は金の無心をしようと栄子に電話するが、それを言い出すより先に、ハルが入院したことを知らされ、言えなくなってしまう。
金のこと、ハルのこと…。昔筑豊でリアカーを引いていたハルを思い出す雅也だが、現在は耕平と家財道具を乗せたリアカーを引いて、2人は、東京タワーの見える公園までやってくる羽目に。職もなく金もない雅也たちに、もはや貸してくれるアパートなどない。耕平は筑豊に帰ると去り、残された雅也が通りかかったのは一軒のパチンコ店。雅也は、ポケットに入れていた栄子の一万円札を握り締めた。そして“一線”としていた、その金を…。
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結局、雅也はパチンコに負けその一万円を失ってしまう。再び公園で野宿しているとそこに同級生の鳴沢が大家から預かってきた郵便物を持ってきます。鳴沢はなんかあったら連絡してと名刺とお金を置いて去っていきました。
雅也は鳴沢の持ってきた郵便物のなかに栄子からの手紙を見つけます。開けてみるとそこには、手紙と雅也が帰ってこられるようにと新幹線の切符が入っていました。
栄子が春江の病院へ見舞にいくために準備していると、栄子名義の通帳をみつけます。春江は毎月少しずつ栄子のために貯金をしていたのでした…。そしてそこには「マー君へ」と書かれた箱もありました。
病院についた雅也は栄子からその箱を受け取り、春江の病室へ。雅也が春江に会うのは高校の卒業以来でした。雅也の顔を見た春江は嬉しそうに「マー君やね」と言いますが、意識は朦朧としていました。雅也が春江の手を握ると「マー君、かあちゃんに心配かけたらあかんよ。マー君どうね?がんばりよるね?」と言います。それを聞いた雅也は目に涙をため「うん、ばあちゃん、がんばりよるよ。ずっとこれんでごめんね。俺、東京でがんばりようよ。」と答え、そっと手を話病室を飛び出し、栄子から受け取った箱を抱きしめ泣き崩れました。
雅也が受け取ったその箱には昔雅也が集めていた昭和33年の10円玉がたくさん貯めてありました。
というのが第3話でした。今回も涙なしには見れない回でしたね。いつも頑張って働いてた春江。そのなかから娘のために少しずつお金を貯めていたんですね。春江の言葉を聞いた雅也も心に強く響くものがあったと思います。本当はもっと早く会いに行ってあげてほしかったけど、最後会えてよかったです。次回、改心した雅也がどうなっていくのか楽しみですね。
第4話「病いの宣告」
中川雅也(速水もこみち)の祖母で、栄子(倍賞美津子)の母、藤本ハル(赤木春恵)が亡くなった。祖母に何もしてあげられなかった悔しさからか、雅也は徳本寛人(高岡蒼甫)やレオ・リー(チェン・ボーリン)に紹介されたアルバイトに励みだす。そのため、もとのアパートに戻ることも出来た。そんな時、山田耕平(柄本佑)も再び雅也を頼って東京に出てくる。水も電気も通うようになった部屋に喜ぶ耕平に雅也は、今度はキチンと暮らそうと思うと宣言しながら絵を描いている。床には“かっぱ”という字が描かれた紙が何枚も転がっていて…。
雅也が描いた“かっぱ”の字は、筑豊の小料理店の暖簾になっていた。それは、栄子が知り合いから経営を引き継いだ店。栄子は開店準備を手伝いに来た妹の香苗(浅田美代子)に暖簾を自慢する。また、店内の品書きは、離れて暮らす夫の兆治(泉谷しげる)が書いたものだった。香苗は自分の食堂も引き続き手伝うと言う栄子が心配。だが、栄子は東京の雅也が頑張っているから、自分も頑張ると明るく答えた。そして“かっぱ”が開店する。店の経営を心配して電話してきた雅也と陽気に話す栄子。だが、栄子は電話を切った後、首に違和感を覚える。
借金も徐々に返し、少しは生活に余裕が出てきた雅也は、久しぶりに佐々木まなみ(香椎由宇)や鳴沢一(平岡祐太)たち学生時代の仲間と飲むことに。家でイラストを描いていると言う雅也に、鳴沢はイラストレーターを探している編集者を紹介すると約束して仕事に戻って行った。店では話せなかったが、帰り道に雅也はまなみと話す機会を得る。今度イラストを見てみたいと言うまなみに、雅也は頷いた。
約束通り、鳴沢は雅也に編集者の河村由香(深浦加奈子)を紹介してくれた。雅也が書き溜めたイラストを眺めた河村は、女性誌の仕事を回してくれることに。早速、イラスト作成の見本にと女性誌をたくさん買い込んでアパートに戻った雅也。イラストに専念しようとするのだが、耕平たち住人がうるさくて集中できない。とうとう、雅也は部屋から住人たちを追い出した。耕平が廊下に出ると、住人共同のピンク電話が鳴る。相手は栄子。耕平から雅也の仕事を聞いた栄子は安心して電話を切るのだが、立ちくらみを覚え…。
体調不良を感じる栄子は、ついに病院へと向かう。当初は貧血だと答えた医師だったが、栄子が首に違和感があると言うと精密検査を実施。その結果、栄子の甲状腺にがんが発見された。しかも、がんは声帯にまで広がっているという。店の客の前では陽気さを装う栄子だが、最後の客が帰ると雅也に電話をかける。しかし、イラストに真剣に取り組もうとする雅也の声を聞いた栄子は、自分の病気を伝えることが出来なかった。
栄子は1人、声帯を取らずに手術を受けることを決意。雅也に伝えていないことを知った香苗は、すぐに電話をかける。だが、まなみにイラストを見せる予定だった雅也は、話もそこそこに電話を切ってしまって…。
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雅也はまなみに自分のイラストが載った雑誌を見せます。まなみは雅也のイラストを見て中川くんらしい。頑張ってるんだねと微笑みました。そして2人は仲良くラーメンを食べました。帰り際、立ち止まるとそこには東京タワーが。まなみはそれを写真におさめ2人で東京タワーにのぼろうと言いますが、そのとき、公衆電話を見つけた雅也は話の続きを聞くため香苗に電話をかけ、栄子ががんで入院することを知ります。
その頃、病院の売店で雅也のイラストの載った雑誌を見つけた栄子は嬉しそうにまわりのひとに自慢していました。
一方、栄子の病気を知った雅也がフラフラと家に帰ってくると、そこに栄子からの電話が。雑誌をたくさん買ったと喜ぶ栄子に雅也はどうして病気のことを黙ってたのかと責めます。そんな雅也に栄子は「もう決めたことたい。マー君とこれから電話で話せんようになったらこまるけんね。心配せんでよか。おかん、がんくらいで死にはせんよ。あんたはそっちで仕事しっかりがんばり」と電話を切りました。
それを聞いた雅也は、慌てて荷物をまとめ栄子のもとへ急ぎます。雅也は、やっと自分で生活できるようになったものの栄子の病という大きく辛い壁にぶちあたったのでした。
というのが第4話でした。好きな絵の仕事をはじめ、自分の足で歩き始めた雅也に安心したのもつかの間。オカンの病気がとても心配です。自分のことは二の次のオカン。声帯を残したい理由もマー君と電話できないからというのもとっても切なかったです。
第5話「最後の旅行」
久しぶりに故郷に帰った中川雅也(速水もこみち)は焦っていた。母の栄子(倍賞美津子)が、がん手術のために入院したからだ。病院に着き、栄子のいる大部屋の病室に入るが、人影がない。と、奥にカーテンに閉ざされたベッドを発見。ベッドには栄子の名が…。不安に襲われつつ、雅也がカーテンを開けると、そこには同部屋の入院患者相手に花札に講じる栄子がいた。あきれる雅也を栄子は患者たちに息子だと自慢げに紹介する。
雅也は栄子の担当医に手術の説明を聞く。医師は甲状腺がんの摘出はするが、声帯付近に浸潤したがんは術後の放射線治療で対処すると告げた。それは、声を失うことを怖れた栄子の望みだった。病室に戻り、声帯の温存を心配する雅也に、栄子はたいがいのことでは死なないと笑ってみせる。
栄子の手術当日。栄子の妹、藤本香苗(浅田美代子)も病院に来た。香苗は、栄子のために筑豊に戻れないかと雅也に問う。雅也が返事に窮していると、栄子を乗せたストレッチャーがやって来た。栄子は、雅也と香苗に笑いながら冗談を言って手術室へと吸い込まれて行く。
その頃、東京の雅也のアパートを佐々木まなみ(香椎由宇)が訪ねた。まなみは、自分と会っている途中で、急に帰ってしまって以来、連絡が取れなくなった雅也を心配していたのだ。まなみはアパートにいた山田耕平(柄本佑)から、栄子の病気を教えられる。
数日後、手術を終えて病室に戻った栄子の着替えを持ってきた雅也が、備え付けワゴンの引き出しを開けると、中に指輪が入っていた。そんなある日、ようやく夫の兆治(泉谷しげる)が栄子の見舞いに来る。相変わらず会話も進まず気まずいムードの2人。しかし、栄子は指輪をはめていて…。
病院を出た雅也は、栄子の店『かっぱ』で兆治と飲む。栄子が店を閉めることにしたと告げる兆治。栄子の側にいられないか問う雅也に、兆治はそんなに暇ではないと言い帰ってしまった。そして、雅也も東京に戻ることに。体力も回復し始めた栄子は、相変わらず雅也の世話を焼きつつ送り出した。
東京に戻った雅也は、鳴沢一(平岡祐太)からもイラストの仕事をもらい、徐々に締め切りに追われるようになる。そんな時、自分の写真がようやく雑誌に載ったまなみが、雅也に見せに来た。だが、アパートでは耕平たちに2人の関係を詮索されるため、雅也はまなみを外へと連れ出す。歩きながら雅也は、栄子の様子をまなみに説明。逆に、親のことを尋ねる雅也に、まなみは答えなかった。そんな2人の前に、東京タワーが姿を現す。
アパートに帰った雅也に、香苗から電話が入る。香苗は具合の良くなった栄子とハワイ旅行に行くと言い出す。しかも、費用は雅也持ちだと…。突然のことに戸惑う雅也。すると、香苗が栄子に電話を代わった。そして、栄子は冥土の土産に雅也とハワイに行きたいと留めの一撃。
ハワイ行きは、栄子と香苗の作戦勝ち。しかし、雅也に旅費を賄う蓄えなどあるはずもない。仕方なくイラストのほかに警備員のアルバイトを始める雅也だが、一向に旅費は稼げない。雅也が路上で似顔絵描きを始めると、耕平たちアパートの住人が手伝いに来た。彼らなりに雅也を気遣っているのだが、勝手に雅也の私物を持ってきて売り始めるではないか。それでも、まだまだ旅費には手が届かない。
その頃、まなみは久しぶりに母・恵子(朝加真由美)と会っていた。まなみの実家は旅館を経営しているのだが、恵子との関係は上手くいってない様子。恵子は、まなみの仕事も理解していなかった。恵子と別れたまなみが、路上で東京タワーを見ていると雅也が通りかかる。東京タワーを見ながら、まなみに何か告白しようとする雅也。だが…言い出せない。と、まなみが午前0時に東京タワーのライトが消える瞬間を一緒に見た2人は永遠に幸せになれるという話を持ち出す。雅也とまなみが見つめる東京タワーの灯りが、フッと消えた。
思わぬ出来事に上機嫌でアパートに帰った雅也を、アロハシャツを着た耕平が出迎えた。そして、激安チケットがあったと耕平は雅也にチケットを差し出す。雅也が気付くと、ハワイ資金として金を入れていた箱が空。せっかく、まなみとの仲も進展しそうな時にと嘆く雅也に、住人は自分たちが親孝行出来ない理由を話す。
こうして雅也は、栄子、香苗と一緒に旅行することになった。激安チケットで行くハワイとは? また、雅也はその時、栄子が病気以外に悩みを抱えていることを知らなかった…。
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栄子には家屋の取り壊しのための退去宣告の案内がきていました。
そんななか、雅也は栄子と香苗を連れてハワイ旅行へ。しかしついた先は、ハワイではなく福島のハワイアンズでした。最初こそがっかりした栄子と香苗でしたが旅行を楽しみ、夕食の席では上機嫌でフラダンスを踊ります。雅也はそこで香苗から栄子が住んでいる家が取り壊されるため出て行かなくてはならなくなったことを聞きショックを受けます。
部屋へ戻った雅也は栄子に意地をはらず兆治と一緒に暮らしたらいいのではないかと言います。しかし、栄子はオトンはずっと前から他の女の人と住んでいると打ち明けます。驚く雅也に栄子は今日のことは一生忘れないと言い眠りにつきました。そして翌日、筑豊へ帰る栄子に雅也は東京に来て一緒に住まないかと言います。栄子は驚きましたが「そっちに行って本当にいいんかね?」と目に涙を溜めて笑いました。
というのが第5話でした。この歳で知り合いのいない土地、しかも東京に出てくるのはすごく勇気のいることだと思います。いつも気丈に振る舞っていた栄子でしたが、そう決断をすぐにしたのはやっぱり不安でいっぱいだったのでしょうね。そして雅也と一緒にいたいという気持ちも大きかったんだろうなと思いました。久しぶりに親子2人過ごす2人の時間が幸せなものであればいいなぁと願わずにはいられないです。
第6話「オカン上陸」
中川雅也(速水もこみち)は、叔母の藤本香苗(浅田美代子)から筑豊の“病院の家”が取り壊しになることを知らされる。住居を失う母の栄子(倍賞美津子)に、雅也は東京で一緒に暮らそうと提案。栄子は、嬉しそうに頷いた。
とは言ったものの、雅也は動揺していた。雅也は、行動を褒める山田耕平(柄本佑)に、栄子が東京行きを断ると思ったと本音を吐く。母の意外な返事にテンションを落としながらも、雅也は栄子の受け入れ準備を始めた。
一方、栄子は香苗や筑豊の知り合いに“お別れパーティー”を開いてもらい、離れて暮らす夫の兆治(泉谷しげる)にも、東京行きの決意を語った。
1996年、栄子が東京に出てくる。雅也は、今まで住んでいたアパートを耕平に譲り、栄子と暮らすために笹塚に少し広いアパートを借りた。階下がボウリング場で、近くを列車が走るため、かなり騒々しい部屋だった。栄子が筑豊から持ってきた荷物は、ぬか漬けの壷とボストンバッグ、そして古ぼけた小さなタンスがひと棹。これが自分の全財産と言う栄子に、雅也は生活費を渡す。すると栄子は“お世話になります”と息子に深々と頭を下げた。
しばらく経つと、笹塚のアパートは栄子流の“中川家”になっていった。栄子はいつでも部屋を綺麗に整頓し、早起きして朝食を作り、雅也を叩き起こして世話を焼く。
ある日曜日。雅也は、久しぶりに佐々木まなみ(香椎由宇)とデートに出かけようとしていた。リビングには耕平が来ていて、栄子に病院までの電車の乗り換えを説明している。雅也が部屋を出ようとすると電話が入った。まなみからだ。受話器を取ろうとする栄子を遮って雅也が出る。その横で、耕平が電話の相手が雅也の彼女だと栄子に教えてしまう。と、受話器を雅也からもぎ取った栄子は、まなみに勝手に挨拶。ご飯を作って待っているから、アパートに来いと言ってしまう。
雅也が、待ち合わせ場所に行くと、まなみはすっかり栄子に会う気でいる様子。もちろん、雅也にそんなつもりはなく、何とか自分のアパートに近づかないようにするが…。
その頃、笹塚のアパートには以前住んでいたアパートの住人、手塚修一郎(石黒賢)、レオ・リー(チェン・ボーリン)、徳本寛人(高岡蒼甫)が引っ越し祝いとやって来ていた。栄子が次々に出す料理をがつがつ食べるレオたち。栄子のぬか漬けを褒めた手塚は、仕事があると先に帰った。
栄子が、なかなか戻らない雅也を待っているとインターフォンが鳴る。しかし、ドアの外にいたのは鳴沢一(平岡祐太)だった。雅也は、学生時代の友人で編集者の鳴沢からイラストの仕事をもらっていたが、最近は締め切りが守れずにいる。案の定、この日も連絡がないので、鳴沢がアパートまでやって来たのだ。事情を知った栄子は、鳴沢を引き止めるが、打ち合わせがあるからと帰ってしまう。
鳴沢と入れ替わるように、雅也がまなみを連れて来た。リビングでは耕平たちが酒を飲んで盛り上がっている。栄子とまなみは、互いに気に入った様子。雅也が見送りに行くと、まなみは再度アパートに行って、栄子に料理を教えてもらいたいと言う。
雅也は、徐々に栄子との生活に重さを感じるようになっていた。イラストの仕事も、ますますはかどらない様な気になってくる。そんな時、またしても提出が遅くなったイラストを届けに行った雅也に、鳴沢は他のイラストレーターに頼んだと言われてしまう。もちろん、その分のギャラも入らない。
アパートに戻った雅也に、公共料金などの請求書が追い討ちをかける。しかし、部屋には栄子が買ったという新しいベッドが…。ひとり暮らしだった頃の気ままな生活を失うことにイラつく雅也。だが、栄子に悪気はない。次の日も、朝から大量の買い物をして帰ってくる栄子。部屋を訪ねてくる人や隣近所に料理をふるまうという栄子に、雅也はとうとうキレてしまう。そして、自分の家なのに息が詰まる、筑豊に帰ってほしいと栄子に言ってしまう…。
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家を飛び出した雅也は、前に住んでいたアパートを訪ね、手塚の部屋へ行き胸のうちを話します。手塚は、「親はいないと寂しい。でもいると鬱陶しい。親なんてそんなもんだよ。」と雅也に優しく言います。続けて手塚は、「自分は母が危篤のときも東京でフラフラしていた。いつかマー君にも来るかもしれない。この(オカンが作った)ぬか漬けをすっごく食べたいと思う日が…。そんなことはそのときに気づけばいいことだけど、でっかい(ぬか漬けの)ツボを持って東京に出てきたお母さんの覚悟だけは分かってあげたら?」と言いました。
その頃、まなみは栄子を訪れ煮物のアドバイスを聞いていました。そしてテーブルにあるたくさんのおにぎりを見て「なんかあったんですか?」と聞きました。栄子は、「自分の中では18歳のマー君のままで時間が止まっていたのかもしれない。東京に出てきて知らなかったマー君が知れただけで出てきた甲斐があった。これからもマー君をよろしくね。」と言いました。まなみは、「マー君は最初に会ったときから自由な人だった。それは全部を受け止めてくれるお母さんという存在がいるからだ。」と言いました。
その夜、家が帰った雅也は栄子のタンスを開きます。するとそこには、雅也が書いたかっぱの暖簾、大学の合格証書と卒業証書、そして雅也が書いて雑誌に載ったイラストをスクラップしたファイルが大切にしまってありました。雅也は栄子の生きがいだったのです。
そこに栄子が外から帰ってきました。すぐごはんにすると言いぬか床をかき回す栄子は、色々と考えたけどやっぱりここ以外行くとこがないと言います。雅也は栄子に「これからはここがオカンと俺の家たい。死ぬまで東京に居ったらええ。」と言いました。
アパートの屋上に来た雅也と栄子。栄子は東京タワーを綺麗だとみつめました。雅也は栄子に今度連れていくと約束しました。
というのが第6話でした。おかんの宝物しか持ってこなかったという少ない荷物のほとんどが雅也に関するものだったことに胸がいっぱいになりました。これからは、ここがオカンと俺の家。この言葉もぐっときました。このまま平穏は時間が長く続いてほしいと思いますが、次回予告で栄子の体に異変がおきるようなので心配です。
第7話「オカンの心、ボク知らず」
中川雅也(速水もこみち)が、母親の栄子(倍賞美津子)と暮らし始めてから、しばらくの月日が流れた。最近では、栄子もすっかり東京の暮らしに慣れた様子。町内にも友人が出来たようで、外出の機会も増えている。相変わらず、遊びに来る山田耕平(柄本佑)たち前のアパートの住人は、近頃では雅也に会いにくるのではなく、みんな栄子が目当てのよう。雅也は、ちょっぴり栄子に嫉妬を感じるほど。
そんなある日、栄子がいつものようにみんなに食事をふるまっていた。栄子の料理を人一倍おいしそうに食べるのは徳本寛人(高岡蒼甫)。栄子はそんな徳本に、実家のお母さんもさぞかし作りがいがあるだろうと言うと、徳本は黙ってしまった。実は徳本は、10年前に実家を出たきりだった。その徳本が、勤続10年の些少な報奨金を工場長から受け取り…。
日曜日。雅也がデートの支度をしていると佐々木まなみ(香椎由宇)が来た。雅也は、イタリアンレストランに誘うのだが、まなみは栄子にベッタリ。雅也はまたしても疎外感を覚える。
ひとり外に出て、雅也が淋しさを共有しようとウサギを買って帰ると徳本が来た。雅也はウサギ小屋を作ってくれた徳本に、どうして栄子の周りには人が集まるのかと聞く。すると、徳本は“ただいま”が言えて、温かいご飯が食べられる家は良いと答える。自分にはしばらく味わったことがないと…。
その夜、またしてもリビングでは大宴会。そこに鳴沢一(平岡祐太)が雅也のイラストを取りに来た。雅也の仕事を待つ鳴沢に、栄子は料理をふるまう。だが、鳴沢は食事に手をつけようとしない。栄子の再三の勧めにも食べようとせず、雅也のイラストを受け取るとすぐに帰ろうとする。と、徳本が鳴沢に噛み付いた。鳴沢の態度が許せなかったのだ。鳴沢につかみかかろうとする徳本を雅也が止めようとしたそのとき…。我に帰った徳本は、以前母親を殴って勘当されたことを雅也に話す。そんな2人の会話を、栄子はそっと聞いていた。そして帰ろうとする徳本に栄子は、自分だったら殴られたことよりも、10年間も息子に会えない方が痛いと告げる。
翌日、鳴沢は担当のイラスト発注を怠っていたことをデスクに責められる。慌てて雅也のアパートに向かう鳴沢。ちょうど、打ち合わせに出ようとしていた雅也に会った鳴沢は…。
一方、徳本は栄子に背中を押されたように、久しぶりに実家に向かった。
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鳴沢は雅也に急遽イラストを頼もうとしますが言えず、その場に倒れてしまいました。
実家を訪ねた徳本はなかなか扉を開くことができません。諦めて帰ろうとすると少し開いていた窓から母親の姿が…。すこし年老いた母の姿を見た徳本はお金の入った封筒をそっと窓辺に置いて立ち去りました…。
目を覚ました鳴沢は雅也の部屋にいました。栄子は鳴沢にお粥を作りごはんを食べれば元気がでると励まします。会社へ謝りの電話を入れる鳴沢に雅也が電話を横取りして「まだ間に合いますか?イラスト」と言い一緒に謝りました。2人は一緒にイラストを完成させました。
徳本が会社へ行くと、そこに母からの手紙が届いていました。そこには10年間ずっと徳本を待っていたこと、これからがいつでも帰ってきて欲しいことが書かれていました。
そんななか、いつものようにご飯食べに集まる面々。自分の誕生日なのに、そっちのけで栄子を囲む様子にまたしても疎外感を感じうさぎを愛でていると、まなみがごはんを食べようと誘いにきます。雅也がみんなオカンばっかりと愚痴ると、まなみ「お母さんに触れるとあったかすぎて本当はずっと寂しかったんだって気づく。もうすっかりみんなのオカンだね」と言いました。
雅也が部屋に戻ると、クラッカーが鳴り、誕生日の祝いが始まりました。まなみはそんな雅也とオカンの写真を撮ります。そんな穏やかで幸せな時間がながれはじめたとき、オカンの体に異変が…。
というのが第7話でした。心配なラストにドキっとしてしまいした。せっかくオカンとの生活も軌道にのって、みんなが楽しく暮らし始めたのに、悲しい方向に向かってほしくない…。ここが、オカンとの東京生活の幸せのピークなのかと思うと悲しすぎる。
ありがちな表現だけれどオカンはいつでもみんなの太陽。そんな母親に自分もなりたいと思った第7話でした。
第8話「時々オトン~家族の絆」
中川雅也(速水もこみち)は、鳴沢一(平岡祐太)が携ることになった新雑誌のイラストを依頼されるなど、仕事は順調。一方、オカンこと栄子(倍賞美津子)の雅也との東京暮らしも、同年代の友人が出来るなど、穏やかな日々を過ごしていた。
そんなある日、栄子がのどに痛みを感じるようになる。栄子を襲う痛みの発作は、徐々に間隔を縮めだした。そして、雅也は栄子が通う病院の担当医に呼び出される。担当医は、雅也に栄子の病状を説明。栄子はガンを再発しており、病巣は食道から声帯にまで広がっていた。担当医は、抗がん剤の効果が得られなかったことを話し、手術による病巣削除以外に治療法がないと雅也に告げる。
アパートに戻った雅也は、栄子に担当医の説明を話し、手術をすることを勧める。だが、栄子は頑として受け付けない。一度目の手術経験の思いと、今回は声帯を取らなければなくなるということが嫌なのだ。雅也は、栄子のあまりの頑なさに、手術をすると言うまで口をきかないと言って出て行ってしまう。雅也は公衆電話から藤本香苗(浅田美代子)に連絡して相談。すると、香苗はオトンこと兆治(泉谷しげる)から栄子に言ってもらうようにと助言してくれた。雅也は、続けて兆治に電話。しかし、兆治はまるで他人事のよう。
雅也は、佐々木まなみ(香椎由宇)にも相談する。まなみは、自分も一緒に行くのでもう一度、栄子を説得してみようと言う。雅也がまなみとアパートに戻ると、部屋から香苗の声が…。説得する香苗に、栄子はこれ以上雅也に迷惑をかけたくないと手術を拒む理由を告げた。聞いていた雅也は、迷惑なわけはない、死なれた方が迷惑だと自室に行ってしまう。
雅也が部屋にいると、まなみが食事だと呼びに来た。雅也がリビングに行くと、栄子が何やらジェスチャーを繰り返す。香苗、まなみと一緒に手話を考えたという栄子は、雅也に手術を受けることにすると告げた。
数日後、栄子は手術のために入院した。その頃、見舞いに来るまなみは悩みを抱えていた。実家の母、恵子(朝加真由美)から旅館を手放すことになるかもしれないと連絡があったのだ。まなみは、そんな悩みを雅也や栄子に話せずにいる。
一方、栄子の再手術は、兆治に知らされていなかった。そんな時、雅也が留守のアパートで山田耕平(柄本佑)たちが料理を作っていると、玄関を開ける物音が。レオ・リー(チェン・ボーリン)が見に行くと、真っ青になって戻ってくる。レオは、ヤクザの取り立てが来たと言う。しかしその取り立て屋と思しき男は、兆治だった。
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雅也は兆治と一緒に栄子に会いにいこうとしますが、なかなかしぶって行こうとしません。
その頃、栄子のもとにはまなみがお見舞いに訪れていました。元気がないまなみに栄子がどうしたのか尋ねると、まなみは実家の事情を相談します。栄子は「人間は弱くなったときはやっぱり家族。家族だってだけで100点万点。(母のところに)いってらっしゃい。」と優しくいいました。
なかなか病院へ行こうとしない兆治にしびれをきらした雅也は、いつでも他人事だと怒りその日は1人で病院へ行きます。結局その日は兆治は帰ってきませんでした。
翌日、まなみは北海道の母のところを訪れます。そこには頭を下げる母の姿がありました。弱気になる母にまなみは母の好物だというりんごをお土産だと差し出しました。
雅也が病院に行くと、そこには兆治と楽しそうに売店で買い物する栄子の姿がありました。手術のため運ばれる栄子を雅也は兆治と見送りました。手術は長時間かかるため一旦帰宅した雅也と兆治。うっかり寝てしまい手術終了時間を寝過ごしてしまいました。慌てて病院へと走る2人。慌てて病室へ入るとそこにはたくさんの管を付けられて眠る栄子がいました。
雅也は「オカン?」と話しかけると栄子は少し目を開きました。栄子は、ホワイトボードを手にとって「いたい!やめれ」と書きました。そして鏡で窓にうつる東京タワーを見て指でなぞりました。兆治も窓から見える大きな東京タワーをみつめました。
今までばらばらだった3人ですが、東京タワーに引き寄せられるように親子3人の穏やかな時間が流れました。
というのが第8話でした。嬉しそうに売店で兆治と買い物する栄子を見て、栄子はなんだかんだ言ってもやっぱり兆治をいまでも愛しているのだなぁと思いました。不思議な絆で結ばれている2人ですよね。そして、いつもちゃらんぽらんに見える兆治も何かあれば登場して不思議と2人に寄り添う姿になぜか心打たれます。家族じゃないようで家族な3人。転機には必ず傍に東京タワーがある不思議。次回も楽しみです。
第9話「将来の約束」
手術から2カ月後、中川雅也(速水もこみち)の母、栄子(倍賞美津子)が退院した。家に戻った栄子のパワーはますますアップ。鳴沢一(平岡祐太)に仕事をつないでもらったおかげで、忙しくなった雅也のスケジュール管理をしたり、家にイラストを取りに来る編集者にまで料理をふるまう。しかし、手塚修一郎(石黒賢)が、ここのところ足繁く来るようになったのと対称的に、佐々木まなみ(香椎由宇)が姿を現さなくなっていた。
まなみが、約3週間ぶりに家に顔を出した。デートに出かけた雅也に、まなみは将来のことを考えることがあるかと話す。家に帰った雅也が、手塚たちにまなみのことを話すと、それは結婚を考えているからだと言われる。手塚は、プロポーズを勧めた。栄子も大喜び。
だが、まなみの言葉と、最近姿を現さないことには理由があった。まなみは、倒産しかけている実家の旅館に仕送りするため、アルバイトまでしていたのだ。そんな時、イラストを届けに行った雅也は、鳴沢からまなみの現状を知らされる。
母の日には、山田耕平(柄本祐)ら、みんなが雅也のアパートに集い、栄子にプレゼント。だが、まなみの姿はなく、雅也はどこか機嫌が悪い様子。遅くに、まなみが来るのだが、雅也はすでに酒を飲んで寝てしまっていた。プレゼントをもらった栄子は、まなみに小さなケースを渡す。中には指輪が入っていた。まなみは受け取るのだが…。
雅也が目を覚ますと、すでにまなみは帰っていた。慌てて追いかけた雅也は、まなみに何故実家のことを教えてくれなかったのかと尋ねる。まなみは、その問いには応えず、栄子の指輪をもらっていいのかと逆に雅也に聞き返した。さらに、このまま自分が東京にいて良いのかと…。雅也に答えることは出来なかった。
数日後、雅也は約束を取り付けてまなみとデート。雅也は、手塚らの助言でプロポーズをするつもりでいたが、中々、うまく切り出せずにいた。すると、まなみが話し始めた。北海道の母が旅館を手放すつもりでいて、そしてそんな母を一人ぼっちにはしておけないと…。そして、まなみは栄子からもらった指輪を雅也に返そうする。雅也は指輪を受け取れず、プロポーズも出来ないまま、まなみを見送ってしまった。
雅也とまなみ…2人の幸せを願う栄子。だが、栄子はその頃、あることを雅也に隠していた。
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これでよかったのかと悩む雅也は部屋へ戻りまなみと出会った日にまなみが撮った東京タワーの写真を見てこれまでのまなみとの時間を思い出します。そして雅也はその写真を手に持って駅へと走り出します。
しかし、まなみを乗せた空港行きのバスは目の前で走り出してしまいました。まなみはバスの中で栄子からもらった指輪を握りしめ「マー君をよろしくね」と言った言葉をもい出し東京タワーを眺めていました…。
雅也が雨の中、傘もささずびしょ濡れで部屋へ戻ると、栄子は何かを察したようでした。雨に濡れた雅也は風邪をひき病院へ…。すると、医師から栄子は進行性の胃癌であることを知らされます。栄子はこのことを雅也には黙っていたのです…。
というのが第9話でした。まなみとの悲しすぎる別れ。このまま本当に離れ離れになってしまうのでしょうか。まなみは雅也に引き止めてほしかったんじゃないのかなと思いました。
そしてオカンの胃癌。運命とはなんて非情なのかと思わずにはいれません。3度目の癌に栄子がどうなってしまうのか。まなみというパートナーがいないなか、雅也はこの壁にどう立ち向かうのか。みんなが幸せになってほしいです。
第10話「最期の選択」
中川雅也(速水もこみち)の母、栄子(倍賞美津子)は、二度のガン手術を克服していたが、ガンはすでに胃に転移していた。呆然としてアパートに帰った雅也を、栄子はいつものように迎えるが、自分の死んだ後のことを話しだす。栄子は、医師が書いた紹介状から、自分のガンが進行していることを知っていたのだ。雅也は、手術すれば今回も治ると励ますが…。
アパートにはいつものように、山田耕平(柄本佑)、手塚修一郎(石黒賢)たちが栄子の料理を食べに来ていた。皆、口々に栄子の早期退院を願うがその中に、佐々木まなみ(香椎由宇)の姿はない。雅也は、まなみが実家に帰ってしまい、二人は事実上別れたということを栄子に話していなかった。
それから、入院までの日々、栄子はまるで何かを予期するかのように、部屋を片付け、身の回りを整理し始める。再入院の日、栄子は雅也に新しく買っためざまし時計を渡し、これからは自分でちゃんとスケジュール管理をするよう言いつける。そして、自分に何かあった時には、引き出しの中の箱を開けるようにと頼んで家を出た。そうして、栄子は雅也に連れられて、東京タワーの麓の病院に入院した。
数週間後、兆治(泉谷しげる)が病院にやって来た。相変わらず、栄子とろくに会話も出来ない兆治。だが、アパートに戻ると雅也に、今度は栄子もダメかもしれないと漏らす。
栄子の看病などで気持ちが安定しない雅也は仕事も遅れがちになっていく。そんな雅也を心配した鳴沢一(平岡祐太)は、まなみに栄子のことを連絡したのかと尋ねる。だが、雅也はまなみには栄子のことを伝えていなかった。
栄子の検査結果が出る日。雅也は、藤本香苗(浅田美代子)と病院へ向かった。雅也と香苗は担当医から、栄子の胃ガンが進行性で他の部位にも転移しているため、手術は出来ないと言われてしまう。残された治療法は、抗ガン剤治療のみだがそれは栄子の体には負担がかかる。雅也は、それでも栄子のためにと抗ガン剤治療を頼むのだった。
先に医師と会ったことを栄子に隠そうとする雅也と香苗だが、すっかりばれていた。仕方なく、雅也は医師の説明を栄子に伝え、そして雅也たちの説得に、栄子は抗ガン剤治療を受け入れる。
栄子の抗ガン剤治療が始まった。それは、わかっていたこととはいえ、辛い毎日。雅也の仕事はますます遅れ、生活もすさんでゆく。そんな雅也を見ていられない鳴沢は、まなみに栄子のことを伝えて…。
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抗がん剤治療を続けるべきか悩む雅也に医師からは、抗がん剤治療を続けて苦痛な時間を増やすよりも残された時間を有意義の使える緩和ケアもあることを告げられます。しかし、少しでも長く生きて欲しい願う雅也は抗がん剤治療の継続して欲しいと医師に言います。
雅也は栄子に絶対治るから頑張ってほしいと言います。栄子もその言葉に力なくがんばると答えました。
そんななか2回目の治療がはじまります。副作用に苦しむ栄子の姿を見ていられない雅也は病室へ入ることができず逃げ出してしまいます。
雅也は入院する前に栄子は言っていたことを思い出して、引き出しの戸を開けます。するとそこには自分の葬式のための互助会の積立と「オカンが死んだら開けて下さい」という箱が入っていました。オカンは自分がもう長くないという分かって入院に行ったのでした。
翌日、香苗が栄子の着替えを取りに戻ってきました。病院へ一緒に行こうという香苗に雅也は、「(辛くて)もう頑張れ!生きろ!って言えない」と言います。すると香苗は雅也にビンタして「姉ちゃんはどんなときでもあんたを笑って励ましてきた。あんたが笑わんでどうする。今度はあんたが励ますばんでしょ」と抱きしめました。
その頃、病室にはまなみが来ていました。弱った栄子に悲しそうな顔をするまなみ。まなみはこれからはお見舞いにくると言います。その指には栄子からもらった指輪がありました。栄子はまなみに「甘えん坊だったから…。あの子がくじけそうな時、じーっとよりかからせてほしい。2人でいればどこでも大丈夫だから…」とお願いするのでした。雅也は廊下でそれをきいていました。たまらなくなった雅也は走り出します。立ち止まると目の前には大きな東京タワーが…。雅也はその場で崩れ落ちました。その瞬間東京タワーのあかりは消えました。
ある日、栄子のお見舞いに行くと痛みに苦しむ栄子がいました。雅也が腰をさすると栄子は「もうやめたい…」と初めて弱音を吐きます。雅也は栄子の手を握り、「もうやめようか、そうしよう。ようがんばったね。オカンがんばった」とオカンを抱きしめました。オカンも雅也の腕のなかで涙を流しました。
雅也が抗がん剤治療をやめることを医師に言うと、余命はもって3ヶ月だと宣告されました。
というのが第10話でした。最終回もまだなのに、終始涙がとまりませんでした。抗がん剤治療をすることはオカンのためではなく自分の気持ちを押し付けていることに気づきながらも、オカンの死を受け入れることができず続ける雅也の気持ちが痛いほど分かりました。オカンもそれを受け入れて頑張るものの、限界がきてしまったのでしょうね。
残された時間を雅也がどう使うのか。どうかみんなが幸せになってほしいと思います。
最終話「涙の最期」
胃ガンで再入院した中川雅也(速水もこみち)の母、栄子(倍賞美津子)の抗ガン剤治療が打ち切られる。薬による衰弱が激しい栄子の姿に、雅也は耐えられなくなったのだ。雅也の申し出を受けた医師は、栄子の余命があと2、3カ月と告げる。
それから2カ月が経過。仕事帰りに病室に立ち寄った雅也を栄子が迎える。やつれはしたが、見舞いに来た山田耕平(柄本佑)、レオ・リー(チェン・ボーリン)、徳本修一郎(石黒賢)と一緒に食事する栄子の調子は良さそう。
そして藤本香苗(浅田美代子)は栄子と外泊したいと雅也に申し出る。病院近くのホテルで、久しぶりに姉妹枕を並べて寝たいと言う香苗に、雅也も栄子が喜ぶと承知した。
数日後、医師の許可をもらった栄子は、雅也に見送られて香苗とともに病院を出た。アパートに戻った雅也が、鳴沢一(平岡祐太)と仕事をしていると香苗から電話が入る。香苗は、病院では流動食ぐらいしか摂れなかった栄子が、ホテルでは刺身も食べたと報告。電話を代わった栄子は、美味しいものは食べられると嬉しそうに雅也に告げた。
夜になると、アパートには耕平たちがやってきて、食事兼、飲み会が始まる。みんな雅也にさり気なく気を使っていた。しかし深夜を回るころ、一本の電話が入った。ホテルで栄子が倒れたというのだ。
雅也が病院に着くと、栄子はすでに個室に移されていた。香苗は、胃痙攣だと雅也に説明。そして雅也がベッドに近づくと目を覚ました栄子は、うわごとのように語りはじめ…。
以来、栄子の体力は著しく低下。雅也は医師から、あと数日だと思って欲しいと宣告される。病室には、いつものメンバーが集まり、代わる代わる栄子を励ます。栄子は、一人一人に力なくも優しく応対し、雅也を頼むと繰り返すのだった。佐々木まなみ(香椎由宇)も飛び込んできて…。
みんなが帰ると、雅也は眠っている栄子に語りかける。東京タワーに登る約束を果たしていないこと、今までの思い出。雅也は、自分は東京に来た頃と何も変わっていない、まだ何も見つけていないから独りにしないで欲しいと訴える。そして兆治(泉谷しげる)も駆けつけた。栄子の顔を見て安心した様子の兆治は、自分もすぐに眠りだす。栄子と兆治の寝顔を見ていた雅也も、やがて静かに眠りについた。家族3人が同じ場所で眠る…それはまさに栄子が長年望んでいたことだった。
翌朝、雅也は栄子の苦しむ声に目を覚まされた。慌てて兆治を起こし、ナースコールをかける雅也。栄子は、苦しみの中、雅也に何かを告げようとするが声にならない。雅也が、もう自分のことは心配しないで良いと言うと、栄子は唇を動かすのを止めた。代わりに、握っていた雅也の手を潰れるくらい強く握り締める。その力も、次第に抜けていき…。
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こうして栄子は息を引き取りました。栄子は最後まで雅也を思い旅立っていきました。その顔はとても安らかでした。雅也はそんな栄子を抱きしめました。その日は、突き抜けるような快晴で病室の窓には大きな東京タワーが見えました。
栄子のお通夜は、香苗や浩平、まなみなど栄子を慕う仲間で楽しいことが大好きだった栄子のために明るく楽しく行われましたが雅也は悲しみを隠して気丈に振る舞います。
火葬する前、兆治は挨拶を求められるも言葉が出ず棺を抱きしめただただなきじゃくりました。葬儀を終えた雅也は栄子が自分が死んだら開けるように言われていた箱を開けます。そこには通帳や生命保の証書や昔のお札、そして手紙が入っていました。
手紙には、雅也と東京で暮らしたことがとても楽しかったこと、小さいころは泣き虫で病弱だった雅也がこんなに元気で優しい息子に育ってくれたことへの感謝、まなみとこれからも仲良くしてほしいこと、友達や周りのひとを大切にしてほしいことが書いてありました。そして最後は、オカンらしく「ちょっといってきますね」と言葉で閉められていました。
それを読んだ雅也はいつものように優しい笑顔で手を振る栄子を思い出しながら手紙を抱きしめて号泣しました。
栄子の墓は東京タワーの麓に作りました。49日の法要後、兆治と一緒に墓参りをしていると兆治は、栄子との思いでを語り「女には言葉にしなきゃ伝わらないことがある。オトンはそれができなかった。」と言います。それを聞いた雅也はまなみを呼び出します。そして「オカンの指輪をこれからも持っていてほしい」と伝えました。
オカンが死んで数年。雅也はオカンに息子に生まれたことを誇りに思い、心で会話しながらしっかり前を向いて生きていました。
というのが最終回でした。分かってはいたもののオカンの死が悲しすぎました…。オトンを待っていたかのように旅立った栄子。親子3人で眠るという夢を叶えて安心したのでしょうか。
いつかみんなが経験するであろう親との別れ。きっとこのドラマをみた人はだれしもがその瞬間を想像してのではないでしょうか。人はいつか死ぬと分かってはいても、なぜか親についてはなかなか想像できないです。若かればなおさらにそうだと思います。でもそれは本当にいつ来るか分からない。だからこそ、伝えられるうちに言葉や行動で色々と伝えていかなくてはいけないし、今一緒にいられる時間を大切にしていかなくてはいけないと思いました。
まなみとくっつかなかったところだけが残念でしたが…、雅也含めみんなの心にこれからもオカンが生き続けていっていることでしょう。とってもいい作品でした。
【東京タワー オカンとボクと、時々、オトン】の登場人物&キャスト紹介
中川雅也(速水もこみち)通称マー君
幼い頃に両親が別居し、母栄子に引き取られ女手一つで育てられた。オトン譲りで絵が上手く、高校卒業後は独学で東京の武蔵野美大へ進学する。いつもマイペースだが基本的に優しい性格。年頃になると栄子の世話焼きに鬱陶しさも感じるが、栄子の病気をきっかけに再び一緒に暮らし始めると、その温かい人柄を尊敬するようになる。
中川栄子(倍賞美津子)通称オカン
雅也の母。オトンと別居後は実家の筑豊へ戻り、料理屋と青果市場をかけもちして女手一つで雅也を育てる。息子を溺愛し、息子をはじめ世話焼きな性格なので面倒見もよくまわりからも慕われる。上京してからも、雅也の友達達からも東京の母として慕われる楽しく過ごすが、癌で命を落としてしまう。
中川兆治(泉谷しげる)通称オトン
栄子の夫で雅也の父。昔、東京の大学へ進学し中退した過去があることから雅也の東京進学について後押しする。素行は悪いが、絵が趣味。
山田浩平(柄本佑)通称バカボン
雅也の地元の後輩で雅也の上京後同じく上京する。栄子からのいいつけで雅也を偵察している。雅也を子供のころから慕っているが破天荒な性格で自分の意見はきちんと持っており雅也にも言うことは言う。
鳴沢一(平岡祐太)
雅也の大学の友達で卒業後も公私に渡り関係をもつことになる。大学卒業後は出版社につとめる。
佐々木まなみ(香椎由宇)
雅也の大学の同級生で卒業後に彼女になる。
藤本香苗(浅田美代子)通称ブーブおばちゃん
栄子の妹で「ゐねや食堂」を営んでいる。いつも明るく姉想いだが怒ると怖く、雅也をたびたび戒める。
藤本ハル(赤木春恵)
栄子の母。物静かで働き者。
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