WOWOWプライム連続ドラマ「神の手」とは
2019年6月23日~ 毎週日曜夜10:00にWOWOWプライムから連続ドラマWの枠で放送された。主演は椎名桔平、久坂部羊の同名小説をドラマ化した。
「神の手」のストーリー
外科医・白川(椎名)は、苦渋の決断で若い末期がん患者を安楽死させた。これを機に、安楽死法案の成立を巡って医学界・政界・マスコミ・市民団体を巻き込んだ騒動が起こる。
『終末期医療における安楽死の是非』を問う社会派医療サスペンス
「神の手」各話のあらすじとネタバレ
「神の手」第1話
腕利きの外科医・白川泰生のもとに21歳の古林章太郎が診察に訪れる。診断の結果は肛門がんで、耐え難い痛みから章太郎も、看病する伯母の晶子も安楽死を懇願。白川は苦悩の末、安楽死処置を施すが…。
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章太郎の母親古林康代(鈴木砂羽)に怒りを覚えました。育児放棄をし、息子を姉に押し付けたまま、医師白川の言葉に対しては「私は日本の医療を信じています」と、どんだけ自分勝手なんだ。ガンと戦いながらも育児放棄した母親のことも「おかんや」と言った息子の気持ちもっと理解してほしい。
ガンの闘病シーンも壮絶でした。章太郎の苦しむ姿、それを支える伯母晶子(坂井真紀)の苦しみ、そして痛みから逃れる方法が死の他に手段がないとなれば安楽死は致し方ないと思いました。安楽死を行わない白川に業を煮やし、晶子は自ら章太郎を楽にしてあげようとしたところ、白川に見つかり止められ白川はとうとう処置を行います。白川の苦悩は震える右手を必死に抑え自分を落ち着かせようとする姿に現れていました。
安楽死を考えるにあたって、『生きる』ことについて考える必要があると思いました。
「神の手」第2話
ワイドショーで安楽死処置の疑惑を報じられた白川。病院では査問会議が開かれ、彼は刑事の平野に章太郎の母・康代から告訴状が出されたことを聞かされる。白川は章太郎の叔母・晶子と連絡を取ろうとするが…。
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章太郎の母親・康代ほんとにムカつきます。「腐れ切った母親」にキッツイお灸を据えて欲しい。さらに看護師を脅迫していたとは、ほんとに腹が立つ。そんなことより母親としてするべきことがあっただろうに。子供が死んでから母親風吹かせても困ります。
もう一人腹が立つのは院長・和田です。「ほうっておけ。死んだらそれが患者の寿命なんだよ」それで医者なの?是非ジャモの手によって「医者狩り」して欲しい。医者の前に人間としてクズでしょう。
安楽死を頼んだ家族も、本人が死んだ後もずっと苦しみます。「ほんとに正しかったのか」とずっと苦しんでいます。本当に難しい問題なのだと改めて知りました。自殺は許されるのに安楽死はダメ。尊厳死として自殺する方法があれば良かったのか?ほんとに難しい課題です。
「神の手」第3話
殺人罪の容疑で逮捕・起訴された白川。しかし、何者かの動きによって不起訴となり釈放される。マスコミは安楽死騒動と一連の真相を究明しようと白川の病院に押しかける。ついに白川は記者会見を開くことに。
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白川医師の記者会見の「皆さんは末期がん患者の抱える苦しみについてどれくらいご存じでしょうか」この言葉は重みがありました。物事を判断する時は、自分の事情だけでなく相手、その他周囲の事情まで考慮する必要があります。
記者会見の時の記者の発言は、それが世論の知りたいことかもしれませんが、名乗ってから発言に責任をもつきだと思いました。あれではただのいじめです。真実の追及をするなら責任と覚悟を持つ必要があります。
看護師・雪恵の「安楽死は病院側が楽になりたいだけの気がする」という言葉にも深い意味を感じました。白川は安楽死を選択したことで楽になったようには思えません。医療従事者という、人間の生死と向き合う仕事の大変さを改めて考えさせられます。しかし、本当は患者とその家族が生きる権利と死ぬ権利、そして今と未来を合わせて考え決断すべき事なのではないでしょうか。
「神の手」第4話
記者会見を見て、安楽死法案成立の象徴として白川を担ぎ上げるべくひそかに動き始めたジャモ会長・新見。一方、康代はひとり、安楽死反対を唱え続ける。そんななか、白川は二度目の「安楽死処置」をお願いされ…。
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看護師・雪恵が康代に渡したUSBの中身は、安楽死をした患者の日記でした。患者を支える家族の「もう死んでくれていい」という話を聞いた患者が、安楽死を決意した証拠でした。
きっとこんな問題今現在でもあるのだと思います。看護には時間、労力、そしてお金がかかります。患者が死んだ後も家族は生き続けるのですから。患者が安楽死を求める大きな理由は家族への負担の軽減が大きいと思います。
康代の言動が少し理解できるようになってきました。安楽死を簡単に考えてはいけない事、他人事ではないことを社会に訴える事は必要だと思います。しかし、康代自身が息子章太郎の生死について一番無関心だったと気づいてほしい。医者がついていれば大丈夫って、医療ってそういう物ではないと思います。
安楽死は患者家族の負担はもちろんですが、医師の負担はそれをはるかに超えるものだとかんじました。どんな理由にせよ殺人です。罪にならないとはいえ人を殺したことに変わりなく、それを医師にお願いして処置してもらう行為は、とても身勝手な事に思えてきました。
初めから重いテーマだと分かってはいましたが、これほどとは・・・。自分の事として考えれば答えが出せません。次で最終話ですが、その答えが見つかるのか楽しみです。
「神の手」最終話
病院を辞めた白川は医師・大塚から終末期医療に向かうある患者の相談を受けるが断る。一方で、佐渡原により安楽死法案も可決されるなか、ジャモ会長・新見が何者かに殺害され遺体となって発見される。
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死を目の前にした末期がん患者の「正しい選択なんてありませんよ。少なくとも、死ぬことにそんなものを求めちゃいけない」これが安楽死の是非についての回答だと思いました。
やはり、安楽死の決断が出来るのは、患者本人とその家族だけです。患者と家族が死を受けとめ向き合うことが大切です。死と向き合うって本当に覚悟のいることです。だからみんな目を背けその一番大切な部分を医師に甘えてしまっているのだと思いました。
そして、一番腹が立っていた古林康代ですが、息子のビデオメッセージのおかげで、生前の息子の想いを知ることができ、人が変わっていました。最後は、自身の育児放棄について向き合おうとするシーンがあり強い人だと思いました。
章太郎は誰よりも早く自分の死と向き合い、そして自分が死んだ後の家族の事まで考えることが出来る本当に強い人だったと思います。自分の気持ちを伝え残すことの大切さ教わりました。
全話一気に視聴しました。wowowの連続ドラマWシリーズ結構面白そうな作品がたくさんありました。話数がテレビドラマの半分ほどですが、余計な場面等はなく、ストーリーの展開が早いのでほんとに一気に見終わることが出来ました。俳優陣も豪華な顔ぶれでWOWOWは有料放送ですが、過去の作品はU-NEXTやFODで視聴することが出来るので他の作品も見てみようと思います。
【神の手】の登場人物&キャスト紹介
白川泰生(椎名桔平)
武蔵野総合医療センター・外科部長/消化器外科医
腕が良く、患者にも信頼の厚い外科医で名医として知れ渡っている。家族に泣きつかれ苦渋の選択で章太郎に安楽死の処置を施す。
山名啓介(杉本哲太)
武蔵野総合医療センター・医師/形成外科医
白川と同僚の外科医。態度が不遜なため看護師からは嫌われている。今の医局制度に不満を持ち、医療行政の改革を目的とした団体「ジャモ」に入会する。新見が掲げる理想に共鳴し、白川を誘う。
古林康代(鈴木砂羽)
章太郎の母/ジャーナリスト
章太郎が小学校4年生のときに育児放棄して以来、章太郎を姉に押しつけ仕事に邁進している。メディアに影響力を持つ。息子・章太郎の安楽死を巡り、白川を告発する。
新見偵一(北村有起哉)
ジャモ会長/心臓外科医
医療行政の改革を目的とした団体「ジャモ」を設立。山名ら医師を取り込む。全日医師会を解体させ、無能な医師を排除する”医者狩り”を断行しようともくろむ。
本村雪恵(星野真里)
横浜南部市民病院・看護師
かつて白川の下で働いていた良き理解者。白川から安楽死処置について告白され、「真実をすべて話すべき」と助言する。
古林章太郎(葉山奨之)
末期がんで白川の患者。肛門がんに侵され手術を受けるが、数か月後に転移が判明、21歳の若さで白川の安楽死の処置により亡くなる。生前自らも安楽死を望んでいた。
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